#テキレボアンソロ 感想その1

開催当日の朝、しかも読めたところ・感想書けたところまでの公開で恐縮です……。
緑川かえでさん「捧げものは全て」から柳田のり子さん「七瀬君とモテと非モテの研究」までの感想です。
販促にはならないかもしれませんが、作者さんに届け!
ネタバレ・誤読・勘違い・ガッカリ語彙力、どんとこーい!


感想その2
感想その3
感想その4


【捧げものは全て】緑川かえで(黒の貝殻)
前回のアンソロにも登場した彼らとの「再会」という意味もあるのかな、と思わせるトップバッター。今回も「主」は酷いですが、ギュスターヴとセレナーデにとってはそれこそが甘い蜜なんでしょう。


【再会して再開したら最下位にも届かなかった細話】こくまろ(漢字中央警備システム)一部わからない用語があったので家人に質問しつつ読みました。若かりし日の己を越える挑戦と情熱、と書けば格好いいですが、やってることはコレですからね……。今回も楽しませていただきました!


【一期一会で終わらせない】たつみ暁(七月の樹懶)
長編の番外編ということで、キャラクター紹介も兼ねた人物描写が活き活きしてて素敵です。エレ可愛いなあ。おいしそうなごはん描写も個人的にポイント高いです!水菜おいしいです水菜(そっち!?)


【マッチ】きと(be*be)
短い中にぎゅっと凝縮された人間関係、思い思われる矢印の行方。安達の「マッチ」描写が素敵。燃えるような恋だったのかな。噛めば噛むほど味が出るような掌編。これ好きだわー。


【おばあちゃんに会いに行きます】セリザワマユミ(トラブルメーカー)
前回に引き続き、創作と日常の境目が揺らぐ一編。そういえば私もとんとお墓参りに行ってないなぁ……。地元を離れてお墓参りの機会が減った今だからこそ、ちょっとチクリときました。


【再会の金太郎】トオノキョウジ(クロヒス諸房)
金太郎meets何だかいろいろ! ウージーと聞いて某機関銃を想像し、こりゃ悲劇の予感……と思っていたのですが、前妻との遭遇という予想を超えた悲劇(?)が! どうなる! 金時! じ、次回……あるの?


【硝子は飛べないから犬にはなれない】ハギワラシンジ(深海の記憶)
掴もうとしてはするりと指の間から逃げてゆく、そんな不思議な手触りの短編。楽園と老人、硝子と禁忌、それに触れた僕の変容と咆哮。天地創造とその終焉、なんてことを思いました。


【雪、観覧車、珈琲】久地加夜子(ふぇにどら!!)
観覧車。私も大好きです。ゆっくりと天地をまわるゴンドラに乗っている間は現実から切り離されたようで、元の位置に戻るその動きが、巡り巡るいのちの連鎖のように思えて。切なくてあたたかい、缶コーヒーの甘みが沁みる作品。


【たましいのゆくえ】まるた 曜子(博物館リュボーフィ)
SFだー!(万歳!)VRやビッグデータ、人格の複製というSFスキーホイホイの要素と、まるたさんの真骨頂であるドメスティックな関係性が両立していて、ぐっときました。彼女亡き今、彼女が誰であるかというのは、彼女ではなく彼女を観測する者が決定する。観測者を観測する者。それでも故人のこころは、たましいは、生きている者の中に残るんだなあ、と。


【明けない夜はない】 天海六花(アメシスト)
人間とリザードマン。何の偏見もなく、違う立場の者同士が互いに歩み寄れば……と、現実の諸々を思いつつ読みました。


【アプリコットスピネル】藤和(インドの仕立て屋さん)
ラストに、えええそうなるの!? と少し驚きました。石言葉がそんな感じなのかと思ったけど、そうでもなさそうな……。


【タイムカプセル】風城国子智(WindingWind)
静謐さが漂う物語は、まるで映画のようでした。人気のない早朝の廃校、明けゆく空をバックにシルエットだけが浮かぶような。名も思い出せないのに思い出だけがよみがえる、そのあたたかい気持ちが静けさの中に灯っているようで印象的でした。。


【ずっと待ってる】瀬古冬樹(とーとくるす)
幼なじみ、身分違いの子どもたちの慕情。ちょっとニヤニヤするくらいの王道設定です。大好きです。未来の再会を夢見る二人に幸あれ。


【君と『彼女』とひまわり畑】猫春(ばるけん)
太陽の色に染まるひまわり畑にハープの音色が響くとき、現れる「彼女」。友人は、「彼女」と「僕の中にいた誰か」を再会させるためのキーマンだったのでしょうか。南仏のくっきり色鮮やかな背景に、一人たたずむ僕の寂しさと残されたハープの音色が心に残ります。


【ララバイ・ブルーの幻】落山羊(ヲンブルペコネ)
藍子にとってはブルーの喪失が自身の喪失とイコールにも思えます。なくのが下手な藍子とブルー。再会と涙とふたたびの別れを経て、藍子が幼い日の傷にブルーという名の絆創膏を貼って少女を卒業する、ほのかな苦み。青系で統一された色彩が作品を彩ります。


【ゆめまぼろしのごとく】濱澤更紗(R.B.SELECTION)
擬人化小説は初めてです。擬人化にあたって、路線の長さや規格が考慮されているのでしょうか。詳しくないのでそのあたりはわからないのですが、擬人化という要素で、鉄道の歴史の移ろいがわかりやすく描写されていると思います。


【卵】海崎たま(チャボ文庫)
これすごく好きでした……! 愛ゆえに兄が与えた卵。愛は容易に憎悪に転じ、兄の愛たる卵を潰し、その殻を手にし眺める妹。ラスト一文が潔く美しく、どこまでも端整。


【君と君と僕と俺との間】遠藤ヒツジ(羊網膜傾式会社)
劇中劇のようでいて、どこまでが現実、どこまでが虚構、願望なのか一瞬ふっと揺らぐ瞬間が。誰かの信じる愛は無力、けれど虚構の中では枯れることなく咲き続けるのでしょう。


【出逢いと別れ、そして恩返し?】なな(7’s Library)
こ、この恩返しは期待していいのか悪いのか……。パリス君の受難体質からして、これはさらなるトラブル(?)の予感しかありません(笑)さっくり読めるライトファンタジー。


【旅先での一度限りの出会い】高森純一郎
前回のアンソロジーもそうでしたが、高森さんの人となりが伝わる、心のこもったエッセイ。いただいたものを、別の誰かに伝える、ペイフォワード。これは「彼女」への手紙でもあるのではと、そんなふうに感じました。


【遺書】つんた(みずひきはえいとのっと)
時間移民。本編未読なのですが、本来の歴史の時間軸から飛ばされた……というような解釈でいいのでしょうか。国王だったはずの彼が幼いながらにしたためる遺書、そしてワイン。どれにも詳しくないので私などが読むのは勿体ない!


【人差指】乃木口正(妄人社)
本格派ミステリ。四千字で殺人事件にチャレンジとは、すごいです。二回目を読むと、江川の心情が全く裏返って見える……! 多くは語りません、語れません!


【Still loving you. (会うつもりなんかなかった)】添嶋譲(言葉の工房)
おおお、添嶋さんのびーえる! という色眼鏡なしにしても、主人公の気持ちの熱、弾けそうなそれを言葉にした途端の急激な冷え、自覚、後悔と抉れた心のリカバリが切ない作品です。主人公がどこまでも透明な(=普遍的な)存在なのがまた哀しくて。でもタイトルがすべてを語る。


【再会小説【私の娘】】氷砂糖(cage)
超短編、掌編を主戦場とされている氷砂糖さんの真骨頂! 短い作品の魅力がぎゅっと詰まっています。小さな作品が集まって大きな作品になる、これすなわち宇宙の構造。さて、彼女にかける言葉は……月並みですが、「書いてくれてありがとう」かな。だからあなたに出会えたのです。


【七瀬君とモテと非モテの研究】柳田のり子(柳屋文芸堂)
あっあっ、七瀬君……! と外野から(後ろ後ろ!的に)呼び止めたくなるようなコメディタッチの短編。七瀬君の舞、見てみたいなぁ。
本編も気になります。代行お願いした私、勝ち組!(ドヤァ)(未読の時点で負けてる)




以上です。
次回は自作を飛ばして、ろくさんからの感想です。気長にお待ちくださいませ……!
すべて公開後、公式(StrayCat)さんにも投稿しますねー。

最初に感想を投稿なさった森村直也さんのレビューから、作品タイトル・作者名・サークル名をコピーさせていただきました。この場を借りてお礼申し上げます。


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